ふるさと納税は個人事業主でもできる?上限額の決め方と確定申告の手順

個人事業主もふるさと納税はできます。ただし、ワンストップ特例ではなく確定申告で寄附金控除を受けるのが前提で、上限額は年末の所得で決まるため、年内は見込みで考えます。

総務省・国税庁と、ふるさとチョイス・ふるさと本舗・さとふるの案内(2026年11月8日時点)で、上限額の目安の出し方、12月の寄附の考え方、確定申告書で書く場所を確かめました。金額は所得や控除で変わるため、個別の判断は税務署・お住まいの市区町村・税理士でご確認ください。

💡 記事のポイント

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • ✅ 個人事業主はワンストップ特例ではなく確定申告が前提で、申請書を出していても確定申告をする年は無効になる
  • ✅ 前年の住民税の所得割額の20%は、上限ではなく安全側の目安で、式で出す上限額はこれより大きくなる
  • ✅ 今年の所得見込みから目安を出すときの準備するものと、12月の寄附で余裕を持たせる考え方
  • ✅ 確定申告書の第二表で書く2か所と、ふるさと納税が事業の経費にならないという説明の位置づけ

個人事業主の寄付額は12月までにどう決めるか

個人事業主の上限額は、年末まで確定しません。前年の住民税の所得割額から出す安全側の目安と、今年の所得見込みから式で出す目安を、使い分けて考えます。

個人事業主はワンストップ特例が使えない|確定申告が前提

個人事業主は、ワンストップ特例ではなく確定申告で寄附金控除を受けます。

ワンストップ特例は、確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内の場合に使える仕組みです(総務省)。館山市は「自営業者等で確定申告の必要がある場合」を、ふじみ野市は「確定申告を行う必要がある事業所得者など」を、ワンストップ特例の対象とならない主な例に挙げています。

確定申告をする年は、ワンストップ特例の申請書を出していても申請は無効になり、申請した分も含めて確定申告書に書きます(国税庁)。

給与所得者など(ワンストップ特例)個人事業主(確定申告)
手続き寄附のときに、寄附先の自治体へ申請書を出す確定申告書で寄附金控除を申告する
控除される税全額が翌年度の住民税から(所得税の控除はなし)所得税からの控除と、翌年度の住民税の両方
提出先・期限寄附先の自治体(期限は記事3)住所地の所轄税務署・翌年3月15日まで

出典:総務省「ふるさと納税の流れ」「税金の控除について」、国税庁 タックスアンサー No.1155

管理人
管理人

ワンストップ特例の申請書を出してしまったら?
確定申告をする年は申請が無効になり、申請した分も含めて確定申告書に書きます(国税庁)。

上限額は年末まで確定しない|所得の見込みで考える

個人事業主の上限額は、12月31日に所得が確定して初めて決まります。年内に出せる金額は、見込みに基づく目安です(ふるさとチョイス)。

売上や経費が月ごとに変わり、青色申告特別控除なども使うため、会社員のように源泉徴収票の年収だけでは出せません。所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を計算して確定させる手続です(国税庁)。簡易シミュレーターの多くは給与所得者が前提で、個人事業主の所得構造に十分対応していない場合があります(ふるさとチョイス)。

助言は分かれます。早めに概算して年末に見直す(イデア総研)、ある程度収入が確定してから寄附する(小谷野税理士法人)と、税理士法人どうしで向きが違います。所得の変動が大きいかどうかで選びます。

1
前年の住民税の所得割額から、安全側の目安を出す
次の見出しで説明します。前年から所得が大きく変わらない人向けです。
2
今年の所得見込みから、式で確かめる
前年と大きく違う人や、開業1年目の人向けです。
3
12月の着地を見て、寄附額を調整する
H2-2で説明します。

前年の住民税の所得割額から目安を出す|2割は安全側

前年の住民税の所得割額の20%以内に収めると、まず外しにくい安全側の目安になります。

所得割額は、毎年6月ごろに届く住民税の納税通知書の課税明細書で確かめます(個人事業主は普通徴収。ふるさとチョイス)。調整控除後の額で、市民税と県民税が分かれているときは合計します。

20%は上限そのものではありません。総務省の式では、所得割額の20%は住民税の特例分の控除の限度で、寄附額の上限は所得税率に応じてこれより大きくなります。ふるさとチョイスも、20%を保守的な目安と説明しています。前年から所得や控除が大きく変わらない人向けで、今年の所得が下がりそうな年は、20%以内でも自己負担が増える場合があります。

課税される所得金額所得税率係数(20%との比べ方)
1,000円〜1,949,000円5%0.236(20%の約1.2倍)
1,950,000円〜3,299,000円10%0.251(約1.3倍)
3,300,000円〜6,949,000円20%0.287(約1.4倍)
6,950,000円〜8,999,000円23%0.301(約1.5倍)
9,000,000円〜17,999,000円33%0.355(約1.8倍)
18,000,000円〜39,999,000円40%0.407(約2.0倍)
40,000,000円以上45%0.454(約2.3倍)

式:控除上限額の目安=所得割額×係数+2,000円。係数=0.2÷(0.9−所得税率×1.021)。総務省「税金の控除について」の式から計算した値で、ふるさとチョイスが示す式と同じ。目安であり、最終の上限額は年末の所得で決まります。

式の出どころ

総務省の式では、住民税の特例分は(ふるさと納税額−2,000円)×(100%−10%−所得税率)で、所得割額の20%が限度です。この限度いっぱいまで控除される寄附額を逆算すると、所得割額×20%÷(90%−所得税率)+2,000円になります。所得税率には、令和19年中の寄附まで復興特別所得税(2.1%)を加えた率を使います(総務省)。令和9年以後は防衛特別所得税が創設されますが、合計税率に変更はないと国税庁は案内しています(令和8年度税制改正)。

所得税率は、課税される所得金額に応じた国税庁の速算表の税率です(No.2260)。住民税側の所得税率は人的控除差調整後の金額で求めるため、所得税と異なる場合があると総務省は注記しています。

今年の所得見込みで確かめる|売上・経費・青色控除

前年と大きく変わる人は、今年の着地見込みから所得を見積もり、式に当てはめます。

事業所得は、総収入金額から必要経費を引いた額です(国税庁)。青色申告特別控除(55万円・65万円・10万円。要件あり)や、社会保険料・小規模企業共済等掛金の控除は所得を小さくし、所得割額と上限額も小さくなる可能性があります(国税庁 No.2072・1130・1135)。

式は前の見出しの係数表と同じで、所得割額は今年の見込みから見積もります(ふるさとチョイス)。所得割額は売上に単純に比例しません。簡易版は給与収入だけを入れる設計が多いため、事業所得を入力できる詳細版を使い、令和8年分の基礎控除の改正(12月1日施行)に対応しているかは各社の案内で確かめます。

  • 今年の売上と経費の着地見込み(12月まで)
  • 青色申告特別控除の額(55万円・65万円・10万円のどれか)
  • 社会保険料(国民健康保険・国民年金)の支払額
  • 小規模企業共済等の掛金(iDeCoなど)
  • 生命保険・地震保険などの保険料、医療費
  • 家族構成(配偶者・扶養)
  • 前年の住民税の所得割額(納税通知書)
個人事業主向けの試算ツール(2026年11月8日に入力項目を確認)

ふるさと本舗「寄付可能額をしらべる(個人事業主版)」は、事業所得(総収入から必要経費と青色申告特別控除を引いた金額)、有価証券の売買益・配当、その他所得、家族構成、社会保険料、小規模企業共済等の掛金、保険料、医療費を入力します。ログインなしで結果が出ます。

さとふる「詳細シミュレーション」は、「給与所得者の方」「個人事業主の方」を選んで入力します。同社の簡単シミュレーションは給与所得者向けで、自営業者は使えないと案内されています。

令和8年分の基礎控除の改正への対応は、各社の案内で確かめます。

赤字や開業1年目の年は上限額をどう見るか

所得が小さい年や赤字の年は、控除しきれず自己負担が増える可能性があります。

寄附金控除の対象になるのは、その年の総所得金額等の40%までです(国税庁)。住民税の特例分も所得割額の20%が限度で(総務省)、所得や税額が小さい年は、控除できる額も小さくなります。

赤字・開業1年目の年は、確認先を決めておく

開業1年目で前年の住民税の通知書がない人は、今年の見込みから式を使います(ふるさとチョイス)。富士宮市は、市民税・県民税が非課税の場合は住民税の控除はなく、所得税が課税される場合は確定申告で控除を受けるよう案内しています。赤字の年に非課税になるかは自治体の判定で、個人事業主の赤字の扱いを説明した公式の原文は確認できていません。見込みが分からないときは、税務署、お住まいの市区町村、税理士に確認します。

寄付から確定申告・帳簿処理までの流れと注意点

寄附の進め方と、確定申告書で書く場所、帳簿での扱いを確かめます。

12月の寄付は上限に余裕を持たせる|年末の流れ

12月の寄付は、算出した目安に余裕を持たせて調整します。

年末の所得は、見込みからずれることがあります。余裕の割合は、辻・本郷税理士法人が算出額の8〜9割程度、さとふるが目安の8割程度(2018年12月時点の情報)と説明しています。公式の基準ではありません。

寄附は12月31日までに決済が完了している必要があります。銀行振込やコンビニ払いの締切は、記事10で確かめます。

1
前年の所得割額の20%を、下限の目安にする
前年から所得が大きく変わらない場合の目安です。
2
今年の見込みで式を使い、確かめる
売上・経費・控除の着地見込みで、係数表の式に当てはめます。
3
一部を先に寄附する(必要に応じて)
早めに概算して年末に見直す、という助言もあります(イデア総研)。
4
12月の着地を見て、残りを調整する
算出額に余裕を持たせます。
5
12月31日までに決済を完了する
決済方法ごとの締切は記事10で確かめます。

確定申告書で寄附金控除を入れる場所と必要書類

確定申告書の第二表で、「寄附金控除に関する事項」と「住民税に関する事項」の2か所にふるさと納税を書きます。

住民税側の欄が書かれていないと、個人住民税の賦課決定の際に控除されないこともあります(国税庁)。

令和8年分の様式・欄名は、令和8年分の確定申告特集の公開後に確認が必要です。ここでは国税庁 No.1155(令和8年4月1日現在法令等)の記載を使っています。

書く場所書く内容目的
第二表「寄附金控除に関する事項」の「寄附先の名称等」欄・「寄附金」欄ふるさと納税先の団体名と寄附金額所得税の寄附金控除
第二表「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄ふるさと納税として寄附した金額住民税の控除
添付する書類寄附金の受領証、または国税庁長官が指定した特定事業者の「寄附金控除に関する証明書」寄附の証明(提示でも可)

出典:国税庁 タックスアンサー No.1155・No.1150。確定申告の期限は寄附をした翌年の3月15日まで(総務省)

ふるさと納税は経費にできる?帳簿の付け方

ふるなびと税理士法人は、ふるさと納税は事業の経費にならないと説明しています。

総務省は、ふるさと納税が収入を得るための支出として扱われず、寄附金控除の対象とされていると説明しています。国税庁は、必要経費を収入を得るために直接必要な費用とし、家事上の経費は必要経費にならないとしています。

帳簿の付け方は、使う会計ソフトや税理士の案内で確認します。

総務省・国税庁の整理(公式)
必要経費
収入を得るために直接必要な費用。家事上の経費は必要経費にならない(国税庁)
ふるさと納税
収入を得るための支出として扱われず、寄附金控除の対象(総務省)
出典
よくある質問 Q12・No.1350・No.2210・No.1155
事業者・税理士法人の説明
経費
事業の経費にならない(ふるなび・辻・本郷税理士法人・イデア総研)
帳簿
事業用口座から支払った場合は「事業主貸」で処理(ふるなび・辻・本郷)
注意
会計上の処理で、会計ソフトや税理士の案内で確認する
管理人
管理人

事業用の口座で払ったら、経費にできる?
ふるなびは、事業用口座から支払った場合も経費にならず、仕訳は「事業主貸」を使うと説明しています。

この記事で確認した公式の資料(確認日:2026年11月8日)

この記事の結論・確認ポイント

  • 個人事業主もふるさと納税はできます。ワンストップ特例ではなく確定申告で寄附金控除を受け、申請書を出していても確定申告をする年は無効になります。確定申告の手順は確定申告が必要な人と書類の記事で確かめます
  • 上限額は年末の所得で決まります。前年の住民税の所得割額の20%は安全側の目安で、式で出す上限額はこれより大きくなります
  • 12月の寄附は、算出した目安に余裕を持たせて調整します。決済の締切は寄付の期限と支払い方法別の締切で確かめます
  • 確定申告書の第二表で、「寄附金控除に関する事項」と「住民税に関する事項」の2か所に書きます。翌年6月の納税通知書で控除を確かめる方法は住民税決定通知書の見方にあります
  • 赤字や開業1年目の年、経費の扱いなど迷う点は、税務署・お住まいの市区町村・税理士に確認すると安心です
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